発汗健康法の1つである岩盤浴。
大量の汗をかくため、こまめな水分補給は必須です。

水分補給が大切であることは、みなさんも感覚的に理解されていることだと思います。
でも、汗をかくからといって、むやみやたらに水分を摂りさえすればよいわけでもありません。

水分の失われ過ぎは危険

水分補給の話の前に、まずは体から水分が失われるとどうなるかを知っておきましょう。

人間の体の約60%は水分です。
体重が50kgの人であれば30kg分が水分ということになります。

岩盤浴によって汗をかけば、当然、汗の量の水分が自分の体から失われます。
岩盤浴では1リットル以上の汗をかくこともあり、50kgの人から1リットル汗をかけば約3%の水分が出ていったことになります。

体から水分が出ていくことを脱水と言いますが、体から失われる水分の量によって次のような状態になります。

2% 喉が渇く
3% 頭がボーッとする
4% 尿量減少、疲労困憊、イライラ
5% 頭痛、熱にうだる
6% 呼吸困難、めまい、言語不明瞭
8% 痙攣
11% 血液循環不全
20%以上 確実に死亡

脱水は上記のような症状を引き起こし、失われる量が多すぎれば死にも繋がります。
また、脱水によって血液の濃度が高くなると、動脈硬化や高血圧などの基礎疾患を持つ人であれば、心筋梗塞や脳梗塞の危険性が高まります。

水分の摂りすぎも危険

水分が失われていくと危険な状態になるなら、そうならないようにガンガン水分を摂らないと!
そう思った人もいると思いますが、ちょっと待ってください。

水分補給は大切ですが、水分の摂り過ぎもあまりよくありません

水を過剰に摂取すると、余分な水分が体の各組織で滞ってしまいます。
その結果、「むくみ」「浮腫」といった症状を起こす「水毒」、「頭痛」意識障害」等の症状を起こす「水中毒」になってしまう可能性があります。

水分の摂りすぎというのも、体にはよくないのです。

岩盤浴での水分補給

そもそも水分補給については、普段の生活の中でも数時間に1回ペースで200ml程度の水を摂取するのが良いとされています。
一度に大量にではなく、少量をこまめに摂取するべきなのです。

岩盤浴においても「少量をこまめに」というのは同じです。
定期的に200ml前後の水分を摂取することで脱水症状を予防する必要があります。

目安としては次のようなことが言われています。
入浴前に150ml~200ml。
休憩1回に150ml~200ml。
入浴後に200ml~250ml。

最低でも500ml以上の飲み物は用意しておきたいところです。
もちろん、出た汗の量や喉の渇きをみて摂取する量は調節するべきですし、飲み物が持ち込めるなら入浴しながらの水分補給もアリです。

ちなみに、喉が渇いていなくても、水分は摂取した方がよいです。
上でも紹介しましたが、喉の渇きは2%ほどの水分が失われて感じられるもの。
つまり、喉が渇いている時点でそれなりの水分がすでに出て行ってしまっています。

喉の渇きを感じたら水分補給するのはもちろんですが、そうなる前にしっかり補給しておきましょう。

何を飲んだらいいの?

水分補給といっても、飲み物はいろいろあります。
岩盤浴の水分補給は、何を飲むのが良いでしょうか?

水分の代表といえば「水」。
水を飲めば喉は潤います。
ただ、純粋な水の大量摂取は、血液の濃度がさらに薄くなることに繋がります。
血液濃度が薄くなると、尿を抑えるホルモンがなくなって、尿が出やすくなるのです。
結果として、飲んだ水よりもたくさんの尿が出てしまう可能性があります。

次にミネラルウォーター。
ミネラルウォーターには、電解質であるカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが含まれています。
カルシウムとマグネシウムの含有量によって「硬水」「軟水」があり、日本人には軟水の方が飲みやすいといわれます。
ミネラルウォーターなら汗で出て行ってしまうミネラルも補給できます。
しかし、失った水分を取り戻すのに有用な糖分や塩分は含まれていないものもあります。

そして、スポーツドリンク。
スポーツドリンクにはミネラルのほか、糖分や塩分も含まれています。
糖分や塩分は、体からの吸収をよくし、失った水分を取り戻すのに有効です。
ただ、味や飲みやすさを重視して多量の糖分が入っていることが多いので、薄めて飲んだ方がよいでしょう。
また、血糖値や血圧の高い人は糖分や塩分の摂り過ぎには注意が必要です。

3種類の飲み物について取り上げてきました。
吸収性などを考えるとスポーツドリンクが最も有効のようにもみえますが、一方で糖分の摂取をしすぎるといったデメリットもあります。

できるのであれば、場面ごとで飲み分けるのが理想。
入浴前は、まだ水分もその他の成分も失っていないので、「軟水」のミネラルウォーター。
休憩時には、ミネラルを多く含む「硬水」のミネラルウォーター。
入浴後は、吸収性の良いスポーツドリンクで回復。

それぞれの飲み物の特徴から、このような飲み分けが考えられるのです。
ただ、そこまでの徹底をする必要があるかどうかは別の話。

基本的には、スポーツドリンクかミネラルウォーターを用意しておけばよいでしょう。
ミネラルウォーターの中には、吸収性に特化した種類も売られています。

大切なのは、脱水症状を起こさないように水分を補給することです。