スーパー銭湯でよく見かける無料ロッカー、どうして100円が必要なの?
銭湯、岩盤浴で感じるロッカーの疑問
利用する際に100円を入れて、使い終わったら100円が戻ってくるタイプのロッカー(以下、「コインリターン式ロッカー」と記載)がありますよね。
お金は必要だけど最終的に自分に戻ってくるのだから実質的にロッカーの利用料は無料。
100円をそのまま回収するのならともかく、本人に返すのであれば、わざわざ100円を用意させる必要はないと思いませんか?
コインリターン式ロッカーはスーパー銭湯などの温浴施設でも採用されています。
温浴施設内には、下駄箱のロッカー、脱衣所のロッカー、貴重品ロッカーといったロッカーが設置されており、それらのうちの1つくらいはこのタイプのコインロッカーになっているケースが珍しくありません。
ゲームセンターに行くのならともかく、温浴施設へ行くときに100円玉が財布にあるかどうかはあまり気にしないでしょう。
そのため、いざ足を運んだ温浴施設でロッカーを利用する際に100円が必要だったら、「え~っ」って思いますよね。
ロッカーの近くには両替機が設置されていてお札を崩せる場合が多いのですが、いちいち両替するのは手間です。
また、最近のスーパー銭湯はリストバンドについたタグで館内サービスを利用して、退館時に一括清算するシステムになっていることがあります。
そのような店舗で館内のコインリターン式ロッカーを利用しようとしたら、財布を持っていないなんてこともあり得ます。
筆者はあるスーパー銭湯の岩盤浴を利用した際にこんなことがありました。
脱衣所で着替えた後に岩盤浴エリア付近の貴重品ロッカーにスマートフォンを預けようとしたところ、それはコインリターン式ロッカー。
財布は脱衣所のロッカーに入れていたため、わざわざ脱衣所まで財布を取りに戻ることになったのです。
まぁ、最初から財布も一緒に貴重品ロッカーに入れるべきなのかもしれませんが・・・。
このように、最終的に無料ではあるものの利用客にとっては不便な面があるコインリターン式ロッカー。
場合によっては利用者をイラっとさせてしまう面もありそうです。
しかし、温浴施設などでこのタイプのロッカーが設置されているのには、当然ですが理由があります。
そこで今回は、コインリターン式ロッカーが使われる理由を紹介します。
カギの紛失・持ち去りを防ぐ
ほとんどの人はロッカーのカギを持って帰ることはしないでしょう。
しかしながら、イタズラなどの目的でカギを持ち去るような人もごく少数ですが存在します。
カギのない未施錠のロッカーは不用心なので使えませんよね。
ロッカーのカギが無くなってしまったら、店舗としてはカギを取り換えなくてはなりません。
当然ですが、ロッカーのカギの取り換えにはお金がかかるため、店舗側とすれば安易にカギを持ち去れる状態にするわけにはいきません。
コインリターン式ロッカーはお金を入れて施錠することで初めてカギを抜くことができます。
そして、カギを挿して解錠することで、お金は戻ってきます。
もしカギだけを持ち去ってしまうと、ロッカーに入れたお金は返却されません。
イタズラ目的でカギを持ち去ることは、お金を払わなければできない行為なのです。
カギを抜くためのハードルを上げることで、イタズラの防止をしているわけですね。
ロッカーの占拠を防ぐ
店舗としては、1人の利用客が1つのロッカーを使ってくれることが理想です。
利用客のほとんどは、基本的に1つのロッカーを使って店舗を利用することでしょう。
しかし、何の制約もなしにロッカーを利用できてしまうと、1人で複数のロッカーを使う人が出てきます。
利用客に複数のロッカーを使われてしまうと、混雑時に利用客が使用するロッカーの数が足りなくなってしまいます。
そこで、コインリターン式ロッカー。
コインリターン式ロッカーはお金が最終的に戻ってくるとはいえ、ロッカーを利用するにあたってはお金が必要になります。
金額負担は0円だとしても、複数のロッカーを使うとなると、その分の硬貨を用意しなくてはなりません。
つまり、複数のロッカーを利用しようと思ったら、それだけ手間がかかるということ。
ロッカー利用のハードルを上げることで、1人の利用客に複数のロッカーを使われることを防いでいるのです。
これだけ聞くと、マナーの悪い利用客のために不便を強いられている感がしますよね。
でも、無駄にロッカーを使われないようにしているから、足を運んだ際に空いているロッカーが見つけられるという側面もあるのです。
キャッシュレス化の時代にどうなっていくのか?
最後にふと感じたことを1つ。
近年はキャッシュレス化が進みつつあります。
国は2019年10月からの消費税増税と合わせたタイミングで、キャッシュレス決済によって支払いを行うとポイント還元する事業を実施していますね。
キャッシュレス化とは簡単にいえば、クレジットカードや電子マネー、QRコードといった現金以外の決済手段を使っていくこと。
キャッシュレス化が進むと現金によるやりとりの機会が少なくなるため、現金を財布に入れて持ち歩く必要がなくなっていきます。
急に日本人が現金を持ち歩かなくなる社会になるとは思いませんが、そういう人は徐々に増えて来るでしょう。
温浴施設でも、入浴料金などの支払いが現金以外の決済手段に対応している施設・店舗は少なくありません。
でも、そこで気になるのは、「現金を持ち歩かない人のコインリターン式ロッカー利用」です。
レジなどでの入浴料金の精算はキャッシュレス決済が可能な店舗でも、館内にはコインリターン式ロッカーは設置されています。
単に財布に100円玉が入っていないというだけなら両替をすれば済む話ですが、そもそもお札や硬貨を持ち歩いていないとなると両替をすること自体ができません。
現金を持ち歩かない派の人は、コインリターン式ロッカーを使う場合にどうしたらよいのでしょうか?
2019年の時点では、様々なケースを考慮してそれなりの現金は普段から持ち歩くべきなのでしょう。
ある程度の現金を持ち歩いていれば、コインリターン式ロッカーを利用するのに必要な金額くらいは財布に入っているでしょうから、温浴施設を利用する際には困りませんね。
ただ、利用後にお金が返却されるサービスの利用のために現金を持ち歩くというのは微妙な気がしますが・・・。
もちろん、本当にキャッシュレスな社会になったら、コインリターン式ロッカーも変わっていくでしょう。
コインリターン式ロッカーが現金以外に対応することもあり得ます。
例えば、駅のコインロッカーなどは交通系のICカードで支払えるものが存在しています。
また、ロッカーのカギの持ち去りやロッカーの占拠についても、コインリターン式ロッカー以外の手段で対応することになるかもしれません。
しかしながら、全てがそうなるまでにはそれなりの時間が必要です。
日本がキャッシュレス化を進めていく中で、温浴施設のコインリターン式ロッカーが今後どうなっていくのかも気になるところですね。