神馬の湯(三重県桑名市多度町)の岩盤浴「満願」を体験レポート!ロウリュウや2万冊のマンガも
三重県桑名市にある「神馬の湯」。
2021年3月22日グランドオープンした日帰り天然温泉施設です。
施設のすぐ近くには「上げ馬神事」で有名な多度大社があります。
この地域にはその昔、多度大社の創建をした僧侶・満願によってつくられた大衆湯屋があったとのこと。
神馬の湯は、そのような歴史や文化を継承する場所としての側面があるそうです。
そんな神馬の湯には、濃尾平野を眺望できる露天風呂を始めるとする天然温泉のほか、多度大社の創建者の名がついた岩盤浴エリア「岩盤処 満願」が備わっています。
岩盤浴エリアでは通常の岩盤浴はもちろんですが、ロウリュウや雲海ヒーリングといったアトラクション性の高いイベントも定期開催されています。
また、館内では2万冊のコミックや300誌の雑誌を読めるとのこと。
なかなか魅力的な施設ではないですか?
というわけで、オープンから3週間ほどが経った2021年4月10日、神馬の湯を体験してきました。
今回の記事では岩盤処「満願」を中心に紹介していきます。
神馬の湯のシステム
多度大社の近くにある神馬の湯。
施設のすぐそばには多度大社の大鳥居が建てられています。
建物はやや高台となった場所にあります。
敷地内には170台近くが止められる駐車場があるため、車で訪れても問題ありません。
建物内に入ったら、靴箱ロッカーに靴を入れます。
靴箱のキーはタグ付きのリストバンドになっています。
靴箱エリアすぐの受付へ。
靴箱のキーを提示し、入館の受付を行います。
岩盤浴を利用したい場合は、館内着付きでの入館となります。
館内着付きの入館の場合は、館内着とマットタオルのセットを受け取ります。
館内着は男性が水色のパンツに柄入り薄茶色のシャツ。
女性はオレンジのパンツに薄茶色にオレンジの花びら模様が並んだ柄のシャツか、焦茶色のパンツに柄入り薄茶色のシャツでした。
岩盤浴エリアは1Fフロア(受付のすぐ横にあります)、浴場や脱衣所は2Fフロアです。
館内着に着替えるために脱衣所のある2Fへ上がり、館内着に着替えて1Fへ戻りましょう。
もちろん、岩盤浴の前にお風呂を楽しんでもOKです。
ちなみに、神馬の湯の精算は退館時。
館内の各サービスを受ける際には靴箱キーのタグをセンサーにかざし、退館時に入館料を含めた有料サービス分の支払いを精算機で行います。
精算後、出口のゲートのセンサーに靴箱キーのタグをかざしてゲートを通過し、退館となります。
神馬の湯の岩盤浴
神馬の湯の岩盤処「満願」には3種類の岩盤浴室や、クールダウン室、ホットフロア、テラスなどがあります。
各エリアへの起点となるのがロビー空間。
ソファやロフトなどが設けられており、休憩をとることができます。
御茶屋というカウンターショップがあるので、そこで飲み物やアイスクリームの購入が可能です。
休憩スペースというところでは、ホットフロアというエリアもあります。
暖かい床の上にはクッションと、大型テレビが1台設置されています。
ホットフロア横の階段を上がると、屋上テラス「三本杉」。
外気浴が可能なテラスから、濃尾平野の眺望が楽しめます。
ここからは3つの岩盤浴室について紹介します。
ロウリュウ岩盤浴は、ロウリュウが定期開催される高温岩盤浴。
室内の中央に溶岩席の熱炉があり、左右に各7床、奥に2床の岩盤ベッドが用意されています。
各岩盤ベッドの頭部側は木製ベンチのようになっており、ロウリュウの際に座れるような構造になっていました。
設置されている枕はウレタンのようなスポンジ素材のもの。
室内の床はかなり高温になっており、素足だと耐えるのが大変なくらいの熱さを感じます。
スチーム岩盤浴は、雲海ヒーリングが定期的に開催される岩盤浴室。
ロウリュウ岩盤浴と比べると湿度が高めの空間の印象です。
室内の中央には大きな釜が設置されて、左右に各7床、奥に2床の岩盤ベッドが用意されています。
各岩盤ベッドの頭部側は木製ベンチのようになっており、座れるような構造になっていました。
設置されている枕はウレタンのようなスポンジ素材のもの。
スチーム岩盤浴では10時30分から3時間おきに「雲海ヒーリング」というイベントが開催されます。
雲海ヒーリングは、釜から噴き出した大量のナノミストを雲海のように室内を漂わせるもの。
真っ白になった幻想的な環境で岩盤浴を行うことができます。
イベントの案内音声では、イベント中は視界が悪くなるので移動を控ええるようにと注意事項が流れていました。
場所によってはナノミストの水分によって岩盤ベッドやタオルが濡れることがあります。
イベント中は神事でかかるような、ゆっくりとした和風の音楽が流れます。
イベント時間は体感で7分くらいでした。
プロジェクション岩盤浴は、映像を映すことができる大きな白い壁が特徴の空間。
室内の温度はロウリュウ岩盤浴やスチーム岩盤浴より低い印象です。
室内には左右各8つの岩盤ベッドがあります。
ロウリュウ岩盤浴やスチーム岩盤浴とは異なり、ベンチはありません。
プロジェクション岩盤浴では11時30分から3時間おきに、プロジェクターを使った映像が流れます。
流れる映像は、桑名市や多度町の観光映像やヨガ映像とのこと。
筆者が体験した際にはヨガ映像が流されていました。
映像がスタートした直後は多くの利用者が突然流れ始めた映像を眺めているだけでしたが、徐々に映像に倣ってヨガの動きをし始める人が増えていったのが印象的でした。
ヨガは体をゆっくり動かすため、激しい運動ではなさそうなイメージでしたが、やっていると意外と汗が出てくるものなんですね。
各岩盤浴室で体を温めたら利用したいのがクールダウン室。
壁やベンチがタイルになったひんやり空間です。
ベンチにはクッションが置かれていました。
神馬の湯のロウリュウ
ロウリュウ岩盤浴では朝10時から2時間おきに「ロウリュウ」が開催されます。
ロウリュウは録音音声と装置を使って機械的に行われる、いわゆるオートロウリュウです。
時間になると室内に注意事項などのアナウンス、ロウリュウの説明音声が流れます。
スポットライトがあたった中央の熱炉に水が注がれ、室内に熱い蒸気が漂います。
アナウンスによると、注がれる水は多度山の湧水だとか。
ロウリュウといえば、うちわやタオル、送風機などで強烈な風を発生させて熱波を送るイメージがあります。
しかし、ロウリュウ岩盤浴で開催されたロウリュウでは室内に風が発生することはなく、熱炉から発生した蒸気のみによって体感温度が上がっていきます。
途中で追加の水が注がれます。
ロウリュウ中は太鼓などの和楽器を使ったBGMが流れていました。
しばらくすると、イベント終了のアナウンス。
体感で5~6分といったところでしょうか。
スーパー銭湯などでイベントとして行われるロウリュウは、風を発生させて参加者に熱波を浴びせるケースが珍しくありません。
それに対し神馬の湯のロウリュウでは風の発生はありません。
しかし、熱炉から熱い蒸気が発生すると、どんどん体感温度は上昇していきます。
自分の周囲の自然な温度変化による熱さ体験なので、ムラなく熱さを味わえる印象です。
少しだけ気になったのは、せっかく岩盤ベッドの頭部側がベンチになる造りになっているのに、それを活用するアナウンスがなかったこと。
そのため、利用者の中には寝たままだったり、体を起こしただけの姿勢でロウリュウ時間を過ごす人もみられました。
ロウリュウは高い場所ほど熱さを感じるため、寝たままや体を起こしただけよりは、ベンチに腰掛けるほうが熱さを体験しやすいです。
最近はロウリュウを導入する店舗が増えてきましたが、それでもロウリュウのことを詳しくご存じない方も少なくありません。
イベント中はベンチに座ることを奨めるようなアナウンスがあっても良いのではと感じます。
2万冊のコミックス、そのカラクリは?
近年の傾向として、岩盤浴エリアにコミックコーナーを設ける店舗は珍しくありません。
岩盤浴の休憩スペースなどではマンガを読んでいる人が多くいます。
神馬の湯においてもマンガを読むことができ、用意されている2万冊は温浴施設のコミックコーナー冊数としては多い部類に入ります。
しかし、神馬の湯の館内を探してもマンガの本棚は見当たりません。
あれ?これはどういうことだろう?
と思っていたところ、ある掲示が目に入りました。
店内のフリーWi-Fiの接続方法と電子書籍サイトのURL(およびQRコード)です。
休憩スペースにいくつか案内用の掲示がありました。
神馬の湯では、店内Wi-Fiで指定の電子書籍サイトへアクセスすることで、マンガや雑誌が読み放題になるのです。
印刷された紙のマンガではなく、デジタルデータのマンガが用意されていたわけですね。
2万冊のマンガとなると、大量の本の用意はもちろん、本を並べるための本棚や設置スペースが必要になります。
でも、電子書籍であれば、どれだけ多くのマンガを用意したとしても、場所は一切取りません。
ハイテク機器を使えば、場所をとらずに多くのマンガを用意できちゃいますね。
また、新型コロナウィルスの感染症対策が求められるご時勢においては、感染リスクを減らすうえでは有効な方法かもしれません。
紙の本の場合は不特定多数の人が本を触ることになるので、感染リスクが懸念されます。
実際、コミックコーナーを用意している店舗では、定期的に従業員さんが本を拭いている様子を見かけます。
でも、利用者本人のスマホやタブレットで電子書籍を読んでもらえば、触れるのは自分の端末だけなので感染のリスクは下がります。
コロナ禍において、電子書籍という形での本の用意というのは、時代にマッチしている気がします。
ただ、個人的な感想としては課題もある印象です。
筆者が電子書籍に不慣れということもありますが、ページの移動方法が選択した本によって異なっており戸惑いました。
インターネット環境ということもあって、ページの読み込みに時間がかかることも多く、サクサク読み進められないこともしばしば。
サイトの閉じ方次第ではもう一度URL入力やQRコードを読み取りが必要な状態になるため、岩盤浴の休憩を使って読み進めるためにはサイトへ楽に再アクセスできるような形で終了していないと、読み始めるためには意外と手間がかかります。
また、読める作品が一昔前のものやマイナーなものが中心となっている印象です。
例えば、ONE PIECEや鬼滅の刃といった最近の人気作は見当たりませんでした。
最近の人気作を読むのではなく、他の店舗ではなかなか読めないような作品との出会いを期待すべきかと思います。
なお、雑誌については比較的メジャーな雑誌の最新刊が読める印象です。
最新の雑誌に目を通して情報を仕入れたい人は活用できそうです。
まだまだ電子書籍に不慣れな人も少なくないと思うので、課題は色々とあるでしょう。
しかしながら昨今の社会的状況を踏まえると、岩盤浴での電子書籍サイトを使った本の用意は時代に合った試みだと思うので、より使いやすいサービスになることを期待したいです。
神馬の湯の感想
神馬の湯は、イメージに反して新しい試みが多く面白い店舗だと感じました。
多度大社の創建者が大衆湯屋をつくっていたといった古い歴史を絡めての天然温泉施設とのことで、最初は古風な印象を受けていました。
お店の名前もそうですし、店舗の外観も日本風。
ただ、日本古来の雰囲気を取り入れつつも、他の店舗では見られないような要素がたくさんありました。
ロウリュウイベントを開催する店舗は珍しくなく、どこか1つの岩盤浴室がイベント用になっているケースはよくあります。
でも、ロウリュウ、雲海ヒーリング、プロジェクションと、すべての岩盤浴室で定期的なイベント開催がされる店舗はあまり見られないでしょう。
雲海ヒーリングの大きな釜からナノミストが噴出する光景は、見慣れていない人にとってはとても面白い演出です。
時間帯によって利用者が集まるエリアが移り変わっていく印象もあり、1日の中でも利用者を飽きさせない工夫がされていると感じます。
館内フリーWi-Fiを使った電子書籍読み放題は、筆者は初めて体験しました。
店舗のコミックコーナーがインターネット上に設けられたことには時代を感じます。
そのほか、他の温浴施設ではあまり見られないものとして、浴場内に変わった水風呂がありました。
昨今のサウナブームもあって水風呂の重要性が注目されていますが、神馬の湯にあったのはジャグジー式の水風呂と1ケタ台の水温の水風呂。
ジャグジー式の水風呂は、水温は18℃くらいだったのですが、下からジャグジーのような泡がブクブクと立っていました。
水風呂に我慢して入っていると、肌に薄い膜「羽衣」ができて冷たさが和らぐと言われます。
でも、この羽衣は他の利用者の動きなどで水が振動すると、すぐに効果を失ってしまうもの。
ジャグジーなんて常に水を振動させているようなものなので、羽衣を打ち消す要素満載でしょう。
水風呂の楽しみ方が変わってしまいそうです。
その隣にあったのが1ケタ台の水温の水風呂。
デジタルの水温系には9℃台の数値が示されていました。
通常、水風呂といえば15度前後であることが多いので、10℃以下の水風呂が用意されているのは珍しいです。
興味本位で入ってみると、その冷たさにびっくり。
もはや、冷たいというよりも痛いと感じました。
このように古風な雰囲気がある一方で、他では見られない試みが多く取り入れられた神馬の湯。
どこかしらに今まで味わったことのない体験が待っていることでしょう。
気になる人は足を運んでみてはどうでしょうか?
※本記事の掲載情報は体験当時(2021年4月10日時点)のものです。最新の情報は神馬の湯[公式サイト] をご確認ください。
■体験者:34歳男性